2025.11.12|
COLUMN
\北欧の知恵/ 木製家具のメンテナンス方法「ソープフィニッシュ」教えます
「ソープフィニッシュ」とは、木製家具の仕上げ・メンテナンス方法のひとつです。無垢の木を無添加の石けんでやさしく洗いながら使い続けることで、清潔に保ちながら木の質感を育てていくという、北欧で長く親しまれてきた方法です。
塗膜をつくるウレタン仕上げや、オイルを染み込ませるオイルフィニッシュとは異なり、ソープフィニッシュは石けんの膜で木肌を保護し、白くさらりとした手ざわりを楽しめるのが特徴。木の呼吸を妨げず、まるで自然のままの木に触れているような心地よさがあります。
デンマークでは家具だけでなく、床までも石けんで洗う家庭が多く、「汚れたら洗う」というシンプルな習慣の中に、“ものを大切に使い続ける”という文化が息づいています。
←Before After→
「ソープフィニッシュ」のお手入れ方法
やさしい石けんで、木のぬくもりをよみがえらせる
ソープフィニッシュのお手入れは、見た目よりずっと簡単。特別な道具は必要なく、家にある石けんとお湯、布やスポンジがあれば十分です。
北欧では、家具を“洗って育てる”ように日々手をかけることで、木の美しさを長く保っています。ここでは、実際にご自宅でできる基本のメンテナンス手順をご紹介します。
用意するもの
・無添加・無着色・無香料の固形石けん
・スポンジ 1個
・ふきん 2枚
・サンドペーパー(320番または240番/400番 各1枚)
・当て木
・70℃ほどのお湯 1リットル
・カッターナイフ
お手入れの手順
① 石けん水をつくる

固形石けんをカッターでフレーク状に細かく削ります。削った石けん(大さじ1=約5g)を洗面器などに入れ、70℃くらいのお湯1リットルでしっかり溶かします。

その後、水を加えて温度を20℃ほどまで下げます。スポンジに石けん水を含ませ、軽く泡立ちが出るか確認しましょう。

※石けんが濃すぎるとムラになったり、汚れが落ちにくくなるのでご注意を。
② 素地を整える(サンディング)
作業しやすいようにレジャーシートを敷き、家具を置きます。

当て木にサンドペーパーを巻き、まずは目の粗い320番で全体をやさしく磨きます。
仕上げに400番のペーパーでなめらかに整えましょう。
椅子の脚など曲線部分は、手で直接サンドペーパーをかけてもOKです。
※汚れが強い場合は、さらに粗い240番を使うと効果的です。
③ 石けん水で洗う
スポンジに石けん水をたっぷり含ませ、木目に沿ってやさしく洗います。

全体をまんべんなく、ムラにならないよう手早く作業するのがコツです。
POINT:ペーパーコード(紙ひも)やレザー部分、脚の接地面などは、水がしみ込まないようにマスキングテープやビニールで保護しておきましょう。脚の底から水が入ると、木が割れる原因になることがあります。
④ 拭き取り・乾燥
洗い終わったら、固く絞ったふきんで泡と水分をしっかり拭き取ります。ムラが残らないよう、全体をていねいに。ドライヤーなどで急激に乾かすと木を傷めてしまうため、風通しの良い場所で24時間ほど陰干しして自然乾燥させましょう。
⑤ 仕上げ磨き
乾燥後、木肌が少し毛羽立っている場合は、400番のサンドペーパーで軽くなでるように磨きます。仕上げに乾いた布で全体をからぶきすれば、さらりとした手ざわりと、明るい木の表情が戻ってきます。
メンテナンスの目安とコツ
年に2〜3回を目安に行うと、いつでも清潔で美しい状態をキープできます。
食卓など日常的に使う家具は、軽い汚れを見つけた時に石けん水でさっと拭くだけでもOK。
洗うたびに木肌がなじみ、やわらかな白木の風合いが育っていきます。
ワークショップで見えた、木と暮らす楽しみ
― Yチェア メンテナンスワークショップより ―

STYLEでは、Yチェアの「メンテナンスワークショップ」を開催しました。参加されたのは、10年から20年以上Yチェアを愛用されているお客様たち。多くの方が「メンテナンスは初めて」と話されていました。

「ネットで見てもよく分からなかったけれど、実際に見たら思った以上に簡単でした」
「力の入れ具合が分かって、自分でもできそう」
「こんなに簡単なら、もっと早くやってあげればよかった」
実際に体験することで、これまで“難しそう”と感じていたお手入れへのハードルが下がり、「家具と向き合う時間が楽しい」と話される方も多くいらっしゃいました。

「20年使っている方の椅子を見て安心しました。自分の椅子もまだまだ育てられる」
「悩んでいる方は、早く買った方がいいですよ!」
家具を“洗う”という北欧の文化に触れながら、「長く使うことの安心感」「手をかける喜び」を実感していただけたようです
木とともに育つ暮らしを

ソープフィニッシュの家具は、洗うたびに表情がやわらぎ、使うほどに味わいが深まるのが魅力です。
手をかける時間が、日々の暮らしを少し豊かにしてくれます。
お手入れを通して木と向き合うことで、家具はただの“道具”ではなく、
暮らしの中で共に歳を重ねる“パートナー”のような存在になっていきます。
汚れを落とすだけではなく、“育てる”という感覚で。
お気に入りの椅子と、これからも長く、心地よい時間を重ねていきましょう。
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